幽明相隔てて

さなえちゃん そちらはどう すきなものと きらいなもの あいかわらず はっきりさせ まわりじゅう わらわせてね げてこいまは こちらをみて しまったって おもってない あっというま おさらばして ひとりあそび たのしんでね なかじまくん かくごのしは しょ…

理非曲直

くわせもんは くわせたほう くらったほう きらいないか きづかずたべ おいしかった うそかまこと うさんくさい にせものじゃ まっちゃわん じつはこうか でもあやしい もちぬしこそ うろんなひと くせものじゃ であえであえ しのびのもの おにわばんが いり…

ろばののりかた

驢馬の背に揺られながら 巷を探訪し 詩句の断片を 錦の嚢中に投げ入れて 深夜 深沈と推敲した 李賀くん 細い雨の中驢馬に騎って 剣門に入る 村市の酒に酔い 未だ敢えて空囊を羞じず 蘭漫たり 詩千首 宗国の再興を希った 陸游どの ロバにのって杜甫ゆかりの村…

孫子の円柱      G

おおまわりしたこうえんは へらぶなつりのひとびとと はなしょうぶをみるひとと かぞくづれでさんぽをする ふだんぎのひとたちつどう ひとふでがきであるくみち こまわりのきくこどもたち すけぼーわざのだんさには ふじだなのかげがあやなし ふっとさるのわ…

孫子の円熟     G

くったくのないえがお ほどよくしつけられて あさばんのごあいさつ はっきりとしたへんじ めいっぱいあそんだら おもいっきりおひるね おぼこむすめのそだち けんのあるまなざしで あいてをみすえていう もんくあるならいいな うでずくならいますぐ かかって…

孫子の円満     G

わたしがやるべきこと めみみはなくちとはだ かんじとるりきりょう てあしかみのけつめで いっきにうけとるもの せかいのあらゆること わたしのささいなこと みんながやるべきこと しんぶんらじおざっし よみとるりきりょうか じぶんのことばにして だれにで…

だれがどうしたからそうなったのか

木端微塵になったものがある 見えなくても眼球はかゆい 薫らなくても鼻腔がむずかる 聞こえなくても響く地鳴り 肌理は罅割れて血が滲む 米からの酒肴は苦みが走る いったいなぜなのだろうか 木に咲く花が一斉に開く東京 魁の散らない蠟梅は別にして 先駆けて…

肖像のそのひと     

眦を決しているわけではない はじけた莢から熟れた鬼灯が覗くように 細められた一点の濁りもない目が 白地にはめこまれた瞳を見据えて そのひとの貌をみる者に向けられている その焦点はみる者にだけ結ばれることなく 背後の時空にまではるかに伸び広がって …

わたしおよび・・・

わたくしのすべてであるわたしに わたしのいちぶでもふれられない あっとうてきなかいめんかのもの あきらかにすいめんからでている それらのちがいはけっていてきだ

神々の酒宴

強力が揚げる荷 医薬品と燃料と 生活必需物資だ 郵便局長が運ぶ 鮮魚やアワビは 絶好の肴となり 夕陽が沈む島を 海の御神体とし ここ山の神社で 今日一日の安全 明日の祈願をし 杯を傾けるのだ 地上の生業から 痴情の縺れまで 交わされる話は 酌めども尽きぬ…

阿鼻叫喚

服わぬものの系譜 山から山への渡り 海を越えゆく者を 率いる山窩やぞう 波きる海賊かしら 和むものの本拠地 流離した千万の由 系累の血脈を肌に 異国に眠るねぞう 丘上の家族かしら 闘うもの達の拠点 城を枕に神出鬼没 一所を墨守する利 懸命に突貫する益 …

陰翳

語るからだ 肩から少し 肘で羞じて 手指は誇り 唇は熟れて 鼻腔は爽快 眼差しの陰 他者の目線 綯交ぜつつ 胸腹陰晒し 臀部伝説を 時の流域に 在らしめて 背負う来歴

みんなで寄り合って話そうよ

六十兆の細胞は 即座に跳躍できる 地に着いた途端 牛馬になるもの 鳥や蛇になるもの 全て場に応じつつ 一瞬の闇は 一瞬の光と 等価ではない まずは見えるもの そして見えないもの 個々の場に応じつつ 五十億年の惑星が 今を保存したいと 天に願う祈りをこそ …

虚空蔵

空を切る 細く鋭い声 地を蹴る 太く鈍い音 火に油を注ぐ 意味不明の言葉 水を浴びせられ 染みるこころ 風をはらみ 行場のない身は 無から渡る 羽ばたきが 精根尽き 地の先 海へ

緑の葛藤

在る いつまでも どこまでも このままで 疎ましいものではないか居る いつまでも どこまでも このままで 親しいものではないか来る 今 ここに 新たな兆し 望ましいものではないか女はいつまでもそのままではない 男はどこまでもそのままではない 疎か親か希…

呪か恕か

異人を擁しながら 怒り心頭に発する 敗北を抱きしめて 腸が煮え繰り返る 古今東西の吹溜り 筆舌に尽くし難い

見もの見世物

鋏虫に挟まれて 健気に振立てる 飴色の音叉から モーツァルトが 弾きだされるや 愛憎は悲喜劇に こりゃ剣呑剣呑 蜂の巣駆除隊は 勇猛に攻立てる 黄金の両顎から べートーベンを 注ぎこまれるや 熱情の即興劇に そりゃ剣呑剣呑 百足に抱かれて 激烈に縁取られ…

相貌抄

いたみくるしみなやみあり つみやみねたみもちつつ そねみうらみしずめて わきみよそみもあり うみなみまかせの みずにしたしみ ほほえみから しぶみまで なまみの いみを かみ み

源や

そこに向かって 青空の寒気を 折り畳んで なぞると 般若が 蹲る 笑 あっちに向き くもる温気 伸びる間 亀焼き 卜占 信 ここ一番の 和気藹々 沈潜時 酒と 肴

申し子牽牛

偶蹄の鈍重な歩調が地を刻む夕暮れの薄闇 金星を沈黙させ一日の反芻をする牛頭人身 圧倒的な存在感を持って予言する人面牛身 暮田島の地下迷宮で蓑多売巣は闇を集積し 神降ろしの霊媒たる件が光明を微塵に砕く 回路は蟻亜戸禰の糸を辿る男に暗殺を許し 予兆…

連綿と紡がれてきた不可視の布目をここに物語らん 天蚕の勁い糸と地蚕の嫋やかな糸とが経と緯に織り 嵐の後の楢櫟の林を尾根道に振り分ける南の斜面に 山繭は吹き落とされて粗い網の目を落ち葉に横たえ 晴れ上がった早朝に摘まれる桑の葉脈が東西に走り 陽炎…

ままよこのまま

じんせいまた きゅうきょく もとめるもの いつのまにか われをわすれ せまるままに やっとはなれ わからないが わかることを わかりながら みればわかる きいてわかる かいでみると すべてしぜん あったままに たべることも さわることも

うたいっしゅおんかうぶらうやまざくら

薩摩守忠度は清盛の末弟 一の谷では西の手大将軍 一門都落ちで都を出たが ある夜歌の師藤原俊成に どうしても一言を伝えん と都に戻って託したもの 百余首の歌認めた巻物を 鎧の下から取り出だして これに候巻物のうちに さりぬべきもの候はば 草の陰にても…

むしゃのせにいれたるはなぞいざちらん

産衣の鎧を拝領せし身 一の谷生田の森の合戦 箙に梅の一枝を挿して 唯一人取り残され勇戦 父と弟辛くも救出せり この梶原源太景季こそ 宇治川先陣争いの後手 磨墨の腹帯を謀られて 生食の佐々木高綱より 薫功を奪われし者なり

きんだちやなんのさしがねいれなんと

生と死の分かれ目が 首を掻く場を山にして 臨場感を以て肉薄し 美麗な装束・武具と 錦の袋に収まる笛を 面影に語られる平曲 重たき琵琶の抱き心 ではありますまいか

おもてに

対面する 面ざしが 遥か彼方 相手後背 もろとも 射し貫き 面目なく 面喰って 籠る自他 たじたじ 彌み縫い 面壁する 背面には 幾万の語 透き徹る 智の恵み

そりゃまた

確とは分らん 闇雲に登る 譲れない 坂道の 莫迦 しかりそのまま あからさま おすきに どうぞ 阿呆 確かに受けた 着実に降る 仕事の鬼 福忘れ 間抜

神器

把握する まずは つかんで にぎって 掌中の物 勾玉かも 揺籃 それを ゆすって うごかし 手指の先 鏡の如く 開示する これぞ ひらいて しめして 全身全霊 剣の舞

幾何

一点 なにいってんの 突破 とっぱずれてる 明滅 あかるくくらい 動機 うごけばなんぼ 祈祷 なやんでいのる 一線 くべつとさべつ 条痕 けがときずあと 内外 ついいたみわけ 伸長 のびればゆるり 意思 とりこむつもり 一面 おもてのまうら 真偽 ないまぜてこそ…

ひとまわり

好きな ものは ことは ひとは なんて うんと あるか 嫌いな ものも あれと それと これと ちょい かもね 愛しみ 憎しみ 正しく 反して 合して はじめ られる