2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

口八丁

やわらかなことばづかい おいでなさいまし みはひかえめ あしもと てもと ゆるやかないきづかい おきをつけなさい めはふせぎみ みみもと くちもと よをかきとむふでづかい ゆだんなさるまじ もじあざやか ろっかん ずのう ひとしきりおせわになり

雷文

いなびかり いきなり ごろた いし の おと ずれて ぢひびき あめもまた

いつ どこで だれが 身の捌き方には薀蓄が 体の支え方には積算が なにに どのように なされるのか 照会と 今後の展開は どんな というそれぞれの思惑 いわゆる各自の対応が 切実に問われのである なぜ いかにして の 分析と信不信の結末だ 心技体の伸びしろ…

表裏

ひたむきに 額に感受し 駆使される 腹側での業 卵子に精子が 到着した瞬間 皮一枚を残し ぐるりと回転 脊椎側が決定 背に腹は かえられない 双眼の向く先 第三眼の方向 前後左右天地 とらわれない 平常時の勘が 非常時に冴え 働くように 裸眼は収蔵

山谷

かはたれどきに 明ける方へ歩む 肉叢の色を纏い 名残の夜を踏み 清新の気を纏い 眼耳鼻舌身意の 風雅を分別して 谷底から丘顚へたそがれどきに 暮れる方へ転ぶ 筋帯の要を潤し 白昼夢を溶かし 混沌の闇を刻み 頭蓋五体総骨の 来歴を峻別して 山頂から渓谷へ

発言

名は体を表す 名乗りを上げ 武は威を発す 語らざれば狭 及ばざれば隘 常に誹謗中傷稀に毀誉褒貶 及ばざるは智 語らざるは恵 文は厳に着く 無名の立林に 虚実の影さす

窮まるところ 追われる兎 絶壁の前 不可逆 凝結 擬 雷鳥 鳴かず 飛ばずの 螺旋手刀撃 極めるところ

好きは好き

お気に入りの水辺 沼に鴨もいない 池に蛇もいない 泉に鯉もいない 浄土の如く蓮の葉には亀の子 湧水は用水を伝い子供たちの 学舎の裏を暗渠となって流れ 出払った雀たちの竹林を掠め 家に居難い老婆が鳩に餌を撒き 扉を閉ざす商店の軒下には燕 嫌悪すべき濁…

変動

地…その窮まる所 地球 地磁気 地殻変動 天変地異 天長地久 天中殺 天命 天…その広がる処

船橋

正対 微塵のゆるぎもない 不得手から 得手から あるいは逆に 切れ目のない 思念に似て 攻撃と防御と 放念もあり 相対 揺れに揺れつつ 弱点急所への 正確無比の一撃 あるいは正に 散逸し断片化し 蛇猿酔漢を真似 擬態と度外視と 逃亡もあり 絶対 宇宙偏在の慈…

やわらかな重圧 闘争を一皮剥く 意識のさざ波が 脊柱を昇り出し リンパ液を還流 心臓から動脈へ 血流は滞りなく 四肢末端へ届き ゆっくりと切迫 筋骨は目標を得 敵をめぐる戦略 敵に達する戦術 敵を封じる戦闘 的確に打つ投網 中枢から包囲し 五体すべて武器…

味確認

空腹に 徐々に 食が供され 椀には味噌汁 麩と豆腐が浮かび 皿には焼塩鯖 小鉢にひじきの煮物 小皿に胡瓜の糠漬け 一膳の輝くご飯が 口に運ばれる さらに瓜を食む 腹八分目 茶を喫し 一日が 始まる

す 音も 立てず 極微の羽 脆弱な足 結晶の目 吸血の口 密やかに 男の子の 唇に止り 女の子の 顳に止り 知らぬ間 一呼吸で 飛び去り そのあと 猛烈な 痒み が

蝙蝠

熟睡の井戸底から 半覚醒の薄闇が見え はたはたと幽かな音・・・ 夢の名残か 右往左往する 影が天井の 夜明け方向に 映っては 姿を隠し また 午前4時半の 深い睡眠時 夢魔の印影が際立ち 思わぬ闖入者だった 闇に目を耳を開く狩人 明方になり帰路を失い 我…

土の巣に 並ぶ雛たち 運ぶ餌は 蚊蝿蚋 一日500匹 正装で 街区を滑空し 菱形の 優良児の口に 無意識にした 生餌を 給食する 鬱陶しい 梅雨が 明けるまでの 営みだ

水流行方

はけ下を見下ろすと鬱蒼と繁る 楢の欅の樫の楓の椚の梢 それら濃淡さまざまな緑の諧調 九十九段を降りきると崖の裾に沿って はけの小流れがあり道があって茂る 蛇苺から水引から赤まんまから葉を葉に重ね 梅雨明けまでの水辺には 鴨もいない子供もいない女も…

知勇

纏っている気をはかる 湛えられている気 天空から幾条もほぐれる気 地軸から起きてくる気 風に揺れ動く気 水に反映する気 火種との距離を引きとる気 間に一筋の髪さえ入らない 時の一矢に光陰は見えない 文徳武徳兼備さるべし

不知天耕

小糠をさらに漉した細雨が 霏霏と嫋嫋と纏わりつき 水滴が茄子の茎の繊毛に 粒粒辛苦綺麗に並んでいく この雨天の畑の横を摺って やがて細胞組織の全領域に及ぶ 水の幾分かを挽き浚ってしまう 大丈夫まだ今なら間に合うだろう 仄かな希望を絶望の背に載せて …

分か去れ

日に日に 月を月に 重ねて歳月が 様変わりする町並みを 風雨で湿らせ 天日で乾しながら 在の者の貌を刻む 翻る暖簾 旧態依然 正邪同宿 岐路の先方を 貫く抜け道に 蛍が漂遊する 魂魄の源平合戦 粘着質の手榴弾が 左右から投擲され 日乗は液晶で覆われ 幻影が…

池沼

砂地に残る蹄鉄の跡 規則正しい歩幅が刻まれ 乱れた小幅の躊躇いが 雨に濡れてくっきりと 馬たちの息遣いを印じ 凌霄葛が装飾門の葛藤を 活き活きと見せて咲き誇る 年輪を重ねる枝に朱の菌 邪道に匍匐の残滓が滑り 累卵の危機が 到る所に顕現する 乗り手たち…

一挙一動

馬の背のこちらは晴れだ あちらでは雨が降っている龍の頭が東に反転して 南に瘴気を吐いていた泥濘の州が 群舞する秋津航空線の蜻蛉達を 深夜まで蛍火のように誘導して 龍の尾は水源が涸れるままに 胴体を壊滅的に痛めつけている愚鈍な驢馬は坂道も細道も 競…