2011-01-01から1年間の記事一覧

肖像のそのひと     

眦を決しているわけではない はじけた莢から熟れた鬼灯が覗くように 細められた一点の濁りもない目が 白地にはめこまれた瞳を見据えて そのひとの貌をみる者に向けられている その焦点はみる者にだけ結ばれることなく 背後の時空にまではるかに伸び広がって …

わたしおよび・・・

わたくしのすべてであるわたしに わたしのいちぶでもふれられない あっとうてきなかいめんかのもの あきらかにすいめんからでている それらのちがいはけっていてきだ

神々の酒宴

強力が揚げる荷 医薬品と燃料と 生活必需物資だ 郵便局長が運ぶ 鮮魚やアワビは 絶好の肴となり 夕陽が沈む島を 海の御神体とし ここ山の神社で 今日一日の安全 明日の祈願をし 杯を傾けるのだ 地上の生業から 痴情の縺れまで 交わされる話は 酌めども尽きぬ…

阿鼻叫喚

服わぬものの系譜 山から山への渡り 海を越えゆく者を 率いる山窩やぞう 波きる海賊かしら 和むものの本拠地 流離した千万の由 系累の血脈を肌に 異国に眠るねぞう 丘上の家族かしら 闘うもの達の拠点 城を枕に神出鬼没 一所を墨守する利 懸命に突貫する益 …

陰翳

語るからだ 肩から少し 肘で羞じて 手指は誇り 唇は熟れて 鼻腔は爽快 眼差しの陰 他者の目線 綯交ぜつつ 胸腹陰晒し 臀部伝説を 時の流域に 在らしめて 背負う来歴