2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

胡瓜の馬で迎えられ 茄子の牛で送られた お盆のご先祖様たち 門口に焚かれる火を 一筋の拠り所にして 記憶の形象が現前し 魂の木霊に似た声が 子孫の身内に蘇える おじいちゃんのお話 おばあちゃんの料理 おとうさんのご自慢 おかあさんのお小言 やがて山に…

徒手

筋を動かす 意識の集中 骨を緩めて 認識を放散 肉身の超出 体液は恒常 暴発があり 費消もあり 動かぬ筋肉 無意識裏の 停滞と反発 骨に絡んで 血肉を収斂 循環の損壊 蘇生があり 潤滑もあり

寛容

プーシキン曰く 人よ寛やかなれ自由博愛者から 寛大な精神まで 一切の不可能に 自己を耐え偲び 永久凍土の地に 赦す自由を齎す同志たちご飯だ へこたれぬ営為

正眼

白眼に遇う 蚊の飛ぶ幻 血膨れの蚋 交尾の蜻蛉 混交は加速 この秋まだ 菠薐草すら 種撒けない 老人は語る青眼の構え 現に蝿集り 虚に蜥蜴来 補虫の蝙蝠 棲処は分れ 天下二焦点 楕円圏描く 行者は示す黒眼で直視 深山烏揚羽 樹林を抜け 枳殻の垣へ 一筋の飛跡…

四股立

艸 芽は 種から 根は土中 重力線沿い 茎葉花を経て 結実し散撒され 版図を広げてきた 云 誰か ここに これ思う 尾を巻く竜 浮く雲の形だ 来るべきものを 形象する占いの器 術 技だ 呼気と 吸気とを 調息塩梅し 天地に竜巻く 破邪顕正の呪力 鳳仙花が咲き競う

単 一つ 用の意 口糞尿道 言葉も同じ 排泄物も同様 外界への出口だ 水空気食物思考は 唯一独自の表れ方と 独尊無比の狭隘が裏腹 複 一対 目耳鼻 感覚感情 受容は無限 表現は有限だ 内界への感覚器 水空気食物思考は 千変万化の表現法と 普遍相対の雅美が共存…

濁 底泥 煙幕に ザリガニ 手を浸すと 冷位を保って 鯉や水鳥たちを 守秘しつつ開放し 清 上澄 水塊に 水藻流れ 足を浸すと 列島に渡来し 定住を希求して 酒肴を奉献し祈る 合 清濁 降る雨 吹く風神 轟くは雷神 極東に稲光り 流離の貴公子を 餅と共に供応する

水力

微 芽を 伸ばす 成長点に 根は水分と 栄養素を送る 細胞を分裂させ 光を享け葉茎花は 実を結ぶまで耐える 妙 目を 見開く 世の先端 足指の把握 前頭葉の認知 混沌に漁る投網 闇黒は暴れつつも 糧として費消される 塵 耳は 大地に 聴聞する 微妙の肌膚 波に乗…

陰 粗暴 隠れ鬼 弱み握り 搦め手から 邪心の漸近線 詭計と謀略の網陽 精妙 十二神 破邪顕正 腹式呼吸に 立脚の放物線 機知と深慮の鋼一 太極 燿變し 透体円相 夏姫胡旋舞 五体の螺旋踊 羽翼と俊足の玉

すー しろい わたげが なにひとつ ささえなしに あおぞらをゆく みあげるわたしも はー みみに ためいき うみにとけ くらげのよう そこまでとどく ひかりはわずかだ しー ひみつ だれだろ あさがおを たおしていく かんさつはむり あいさつはしてね

蝉脱

じ ちちっ みーん かなかな にーいにい しゃわしゃわ おうしっつくつく 器 襞腹 共鳴力 羽化変身 四翔透華色 樹脂食満喫舌 端居老生風聴聞 ち にて そすう かぞえる なかまたち てんまでとどく えいようまんてん

贅言

むっ として はたらく にがみあり すっぱさあり からみはけせず あまみはぎゃくに こうかてきめんとは うっ ときて すいこむ うべないの むねにつかえ はきださせない そしきまるごとの あしのひっぱりあい さっ とみて めはしに むだのない はなのあるこ は…

寓言

まっ しろ ちゃん あるいて まっくろい みちでであう しろやぎさんに おてがみわたした しろのうつくしさは いのちをもやしつくし あらゆるいろのほねだけ かぜやみずにさらされると まっ くろ ちゃん はしって まっしろい こみちにたつ くろやぎさんに おは…

凸凹新生

な める すこし でこぼこ していても そ こを みずが ならして こえてゆく う おは おひれ ひっしに さかのぼる と りが ねらう くちばし きづかずに ふ れる けはい みつめる なつのかわ

硝子鉢

波 青く 喫水に 浮かぶ体 刳り出す掌 底からの曲線 競りあがる竜骨 陰陽合一する船首 蝙蝠が翼で守る船尾 薩摩の切子藍色船形鉢 米 尾の 刻印は 駆動力源 葡萄は小房 唇をすぼめて 指三本で命運ぶ 果液が声調を潤し 芳香は器の懐に残る

落差

し ろい たきの しぶきが かぜにまい かえでのはを ぬらしてゆれる く ろい いわを つたって たきつぼへ みずはながれ あとをあらわす み どり うすい こかげに うっそうと ひびきわたり ときをかくして ん ・・ ・・・

車 傾く 不動坂 身も魂も 託したまま 左右の均衡を 制御しつつ下る 体 立に 柔かく 気流水流 さからわず 惰性のままに 低い湿った地に 志 這う 知情意 噴出する 来歴の果て 丘の上の異界