sokuze2007-08-31

胡瓜の馬で迎えられ
茄子の牛で送られた
お盆のご先祖様たち
門口に焚かれる火を
一筋の拠り所にして
記憶の形象が現前し
魂の木霊に似た声が
子孫の身内に蘇える
おじいちゃんのお話
おばあちゃんの料理
おとうさんのご自慢
おかあさんのお小言
やがて山に送り火
明明と大の字を見せ
邂逅の一時は終息し
市町村の日常が戻る

その間無縁仏の墓所
新たな卒塔婆に標す
紛れもなき祖霊には
懇ろな供養の読経が
蝉時雨と共に降注ぐ