2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

闇緑

夏至だ 雨だ 中空を縫う 樹幹を伝う 可憐な葉先から 雫が滴り 極小の毬を濡らし 栗の木が蘇生する 蟻達の休息 風は緑に濡れて 光は闇に塗れて 久々に地へ伝わり その吸引力に委ね 内奥に収蔵される 濃い葉翳に開く 混沌の菓子屋で 収穫時の果実が 夢のように…

影向

知らずに通ることはできない 感じずに過ぎることはできない 聖なる結界と魔界が入れ替わる夕刻 勤勉なる者と人攫いが交差するとき 塵芥の如き魑魅魍魎を封じ込めた釜に 無垢に似た剛毅木訥な修験者の手が懸かる 光彩淋漓たる光と影との無言劇は 王朝の盛衰を…

烽火

時は今 肯綮に中る 筋骨の要所を牛刀が截り 物事の道理が木竹に簡約され 金石に刻まれた神意が伝承され 祭りから饗宴に取り分けられた肉は 而して今 人々の口に入り血となる 天地循環の水から百分の三の真水 血肉骨を潤すこの水無くして人類は 生存が不可能…

隧道

首をつっこむ 混交の最中へ 螺髪から肉身 利手から後手 蹴足から軸足 あるいは逆に 迷妄の現前に 過去からも風を 未来からは水を 通すべく穴穿つ 相貌は生首に 運ばれて道に 未知と来歴を 滴らし点々と 風体は刻印され 光陰を抜ける

軋轢

軸は水平 回転は垂直 気体を裂く四肢 流体に浮く肢体 基盤で弾む五体 で二方向に慣らし 三次元で習得する 四次元の塾知 軋む点と点 摩擦熱の導火線 面では局部と全般と 焦げてくる頃に 状況が変容するや 即時収束の企図 畳上の戦略と 城下の戦術が 天地に人…

有為

晴れた空 過去へ送る認印 土の無い行手の測量 せいぜいが恒春園の入口 やっと曇って 今現在は是非を耐えつつ 時代を逆行して校定 やっと鎖国の出口だ そして梅雨になる 地が固まるや否や 生まれるもの 死ぬものの 愛惜にしとど濡れて 葦黴の漂う処を 鉾は掻…

無為

触れないがある 匂わないがある 味はないがある 聞こえないがある いるのだ確かに 蛾の衣をまとい ガガ芋の船で渡来し 五穀の育成を教え 牛馬の使役を示し 治水架橋法を授け 酒造法まで伝えて 粟の穂を発条にし 高天原に帰った スクナビコナの神 あるものと…