2007-07-08 水流行方 はけ下を見下ろすと鬱蒼と繁る 楢の欅の樫の楓の椚の梢 それら濃淡さまざまな緑の諧調 九十九段を降りきると崖の裾に沿って はけの小流れがあり道があって茂る 蛇苺から水引から赤まんまから葉を葉に重ね 梅雨明けまでの水辺には 鴨もいない子供もいない女もいない 梢を映して乱す水文さえなく 透きとおった底の海老蟹さえ隠れ 見えない中流を緩く貫き通って 石と岩の間を越える流水だけが 多摩川へ東京湾へ太平洋へとおもむく