給血塔

一族の頂点に君臨し
日々の謁見を勤めに
薔薇を愛で鹿を狩り
聴聞した言行の多さ
看過した臣下の鋭さ
すべてを封じ切れず
脳髄から出血する王


蛮族の辺境に彷徨し
時々の舞踊を披露し
唄と酒と紫煙に漂い
露呈した淫行の多さ
黙殺した同僚の鈍さ
すべては溜め切れず
胸郭から吐血する妃


王族の直下に倍席し
刻々の情勢を判じて
知と情と意志を持ち
英断する品行の善悪
寛如した輔弼の賢愚
すべてに通じ切れず
鼻から出血する王子