遠吠え

犬たちの目線は飼い主に注がれ、衣食住すべてがご主人様の意中。番犬やペットの領域を超えていまや伴侶とも言える存在だ。人に媚び諂うばかりではなく、介護・救助・レスキュウその他で実働する犬がいれば、芸をして人を楽しませる犬も居て、まず犬を見掛けない事はない。いつもどこかで犬の気配がしているのだ。


狼たちの耳は立ち、風雨の音韻を縫って声は伝わり、敵の動静をしっかと掴む事ができる。また、猪や狐狸を追い払う役目を荷っていたので、一族は率先して狩猟・家庭・分配の頂点に立ち、群れを率いてきたのである。大神(おおかみ)として神社に祭られ、頭脳的な即断の美学に基づいた行動が尊崇されてきたのだ。


幻獣たちの触覚はリアルである。バーチャルな空間で疑似体験をさせる現代の下支え層だ。コスト高の生体験ではなく、廉価なテーマパークを初めとした施設で、水中生物から宇宙空間旅行までを用意して、さもありえたが如き人造物を並べ、PC上で「実践」すれば、実体験以上の現実感覚が体験できるのかもしれない。